こんにちは。

今日は、うえだ真由先生のおはなし。


★きっと優しい夜 (うえだ真由)
 ※購入サイトはこちら⇒「BookLive!」「Renta!
_20180311_210125



さくらの評価:★★★★★


うえだ先生も、社会人になってから読み始めた作家さん。

お仕事BLっていうんでしょうか。
きちんと自分の仕事に取り組んで、地に足ついたキャラクターが多い印象。

とはいえ私は、やはりBLは恋愛要素を重視したい派。
だから、お仕事の描写が多すぎると、それはそれで萎えちゃうんですけど、
うえだ先生のお話は、そのあたりのバランスが絶妙で。

この「きっと優しい夜」も、上司部下の二人が、仕事のやり取りを通して徐々に関係を深めていく様子が、
キュンを交えつつ描かれていて、お気に入りの1冊です。

あと攻めの堂上が、かなり魅力的な男。
大金持ちだったり、めちゃくちゃ男前だというわけではないけれど、
不器用ながらも、受けの理を優しく見守り、決めるべきところは決める、理想的な攻め様だと思います。

それでは、ネタバレOKな方は、こちらから。


↓↓↓




羽根理は、マネキンディスプレイのデザイン会社の派遣社員。
とある事情により、正社員だった前の職場を辞め、
苦労の末に、なんとか今の会社に採用され働いています。

真面目で仕事熱心な理ですが、契約社員という不安定な現状に、焦りや不安を抱える毎日。
ゲイである理は、これから自分が一生家庭を持つことがないからこそ、
きちんと自分の中で安定した基盤を持ち、社会のなかで生きていきたいと思っています。

上司である堂上永貴の厳しい指導にもめげず、正社員になることを目標に頑張る中、
ある日、理は堂上にご飯に誘われます。
尊敬はしているものの、少しぶっきらぼうな堂上が苦手な理は、
なぜ誘われたのか不思議に思いつつ、誘いに応じます。

仕事場では厳しい堂上ですが、決して理不尽な厳しさではなく、理にとってとても尊敬できる存在。
食事の場で、堂上の今後のビジョンや仕事への熱い思いを聞き、改めて尊敬の念を深めます。

しかし、その後入ったバーで、堂上から突然「プライベートでも付き合ってほしい」と告白をされます。
全くそんな風に意識していなかった上司からの突然の告白に戸惑う理。
理は、前職を辞めた経緯から、職場恋愛はしたくないと思っており、
もっと言えば、恋愛自体に距離を置いていました。

しかし理の頭をよぎったのは、2年前、なかなか就職先が決まらず、
言いようのない不安と焦りに飲み込まれそうだった毎日。
堂上のことは、決して好きではないけれど、嫌いでもないし、むしろ尊敬している。
断ったところでどうせ気まずくなるのは目に見えている、
それであれば・・・と、最低なお願いだと自覚しながら
「正社員になりたい。せめて正社員の採用試験だけでも受けさせてもらえないか」
堂上にお願いをします。

戸惑い、そのお願いをなかったことにしようとする堂上に対し、
「半端な気持ちではない。部屋に行きましょう」と震える声で言う理に、堂上は応え、
そうして二人は関係を結びます。

卑怯な取引を持ちかけた理に対して優しく抱いてくれる堂上に、ますます自己嫌悪を覚える理。
しかし、断りづらいのを知った上で告白した堂上だって少しはずるいんだと、
なんとか自分を納得させようとします。

そして、無事に試験を受け、正社員採用される理。
そこから、週末は堂上の部屋に行き、日中は仕事のアドバイスをもらい、そして抱かれる日が続きます。

関係を結んでも、はじめは尊敬の域から中々でない感情でしたが、
関わりを持つうちに、堂上の大人な部分や優しさに、いつの間にか惹かれていきます。
しかし好きになればなるほど、はじめのきっかけが重くのし掛かる理。

そして理には、どうしても職場や堂上に知られたくないことがありました。
それは、前職を辞めたきっかけが、当時社内で付き合っていた上司に騙されて行っていた不正経理だっとこと。
知らずに行っていたこととは言え、信じていた恋人と好きな仕事を同時に失った理の中に、
この出来事は、大きな影を落としています。

堂上のことを好きになってきたけれども、様々なことが後ろめたく、想いを告げられないでいたとき、
仕事で、自分をだましていた元恋人に再会することになって---。

…というお話です。

いやー、この話本当に好きです!
冒頭書いたように、まず受け攻めともにちゃんとしてる、というところ。

そして取引で身体を差し出す背徳感に激しく萌えます(笑)
この行動が受け入れられないという読者さんもいるみたいですが、
自分がゲイだからこそきちんとしたい、と思う気持ちや、
あんな不安定な日々はもう送りたくないという理の気持ちが、丁寧に書かれていたので、
私は気になりませんでした。

あとやはり攻めが魅力的。堂上は勢いで告白したわけではなく、理が入社してからの2年間、
ずっと傍で理を見守ってきて、ようやく告白をするんですよ。
自分が好意を持っていることを理には全く気づかせないぐらいに自分をコントロールしている堂上はすごく大人だと思いますし、
取引を持ち掛けた羽根に、多少失望することもあったと思うのですが、
理という人間を信じ、見守り、また困っているときにさりげなく助ける堂上は、本当に素敵だと思います。

理への告白シーンは何度も読み返しました。
何度も言いますが、堂上って、不器用で優しいことなんか言えないタイプなんですよ。
そんな堂上のストレートな告白って、めっちゃ萌える…
そして、全部読んでからもう一度読み直すと、さらりと読み流していた箇所で、
あ、この表現ってこういうことだったんだ、と気づく箇所もあり。



「羽根のことは、可愛いと思ってるんだ。誰が見てなくても手を抜かないし、人があまりやりたがらない裏仕事も率先してやってるし。勉強熱心で、一生懸命で。」

「・・・別に、そんな」

「謙遜しなくていい。俺はずっと見ていたから知ってる。ずっと----羽根がうちで働くようになってから」

台詞の最後は、なぜだか永貴らしからぬ歯切れの悪さがあった。けれどそれに気づく余裕は理には既になく、ただ瞬きもせずに永貴を見つめることしかできなかった。

永貴はスツールを僅かに動かすと理に向き合った。真っ直ぐな黒い眸で見つめ、口を開く。

「好きなんだ。これからは仕事だけじゃなくて、プライベートでも俺と過ごしてほしい」

「・・・・・・」





はあ、キュン・・。

また、最後、理の元カレとの絡みで、堂上がある仕掛けを用意しているシーンがあるのですが、
その流れ・やり方も素敵。
これ以上のネタバレは控えますが、そんなことされたら、理ももっと好きになっちゃうこと間違いなしですね。

素晴らしい。ぜひ読んでいただきたい1冊です。

それでは今回はこの辺で。


★きっと優しい夜 (うえだ真由)
 ※購入サイトはこちら⇒「BookLive!」「Renta!